2024年~ 通所介護の個別機能訓練加算「個別機能訓練計画書」の書き方・記入例(様式3-3)

2024年~ 通所介護の個別機能訓練加算「個別機能訓練計画書」の書き方・記入例(様式3-3)

2024年から通所介護の「個別機能訓練加算」で使用する「個別機能訓練計画書」の様式3-3について、エクセルファイルと記入例・書き方を紹介します。

通所介護の「個別機能訓練計画書」別紙様式3-3

厚生労働省は令和6年3月15日に発出した「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」の中で、通所介護の個別機能訓練加算の事務処理手順例及び様式例を提示し、その中で別紙様式3-3「個別機能訓練計画書」のエクセルファイルが公表されました。

個別機能訓練加算(Ⅱ)では紙面だけでなくLIFEの情報提出・活用が必要

個別機能訓練加算(Ⅰ)イまたはロを算定する場合は、エクセルや紙面で生活機能チェックシート・興味関心チェックシート・個別機能訓練計画書を作成・同意を得て保存しておくことで算定可能となっていますが、個別機能訓練加算(Ⅱ)では紙面だけでなくLIFEの情報提出・活用が必要なので注意しましょう。

利用者の基本情報の書き方

個別機能訓練計画書 利用者の基本情報

別紙様式3-3「個別機能訓練計画書」の「利用者の基本情報」には、利用者本人の希望、家族の希望、利用者本人の社会参加の状況、利用者の居宅の環境(環境因子)、健康状態・経過という項目があります。個別機能訓練計画書にはこれらの項目と記入欄がありますが、「利用者の基本情報」については、別紙様式3-1「興味関心チェックシート」・別紙様式3-2「居宅訪問チェックシート」を別途活用することとされています。

以下の内容は、必要に応じて医師または歯科医師から情報を得ます。直接情報が得られない場合は、介護支援専門員を通じて情報収集を図ります。

健康状態・経過

健康状態・経過は、LIFEへの情報提出項目と関連付けられている「病名」「発症日・受傷日」「直近の入院日」「直近の退院日」「治療経過(手術がある場合は手術日・術式等)」の記入欄があります。

合併症

合併症については、チェック項目で脳血管疾患、骨折、誤嚥性肺炎、うっ血性心不全、尿路感染症、糖尿病、高血圧症、骨粗しょう症、関節リウマチ、がん、うつ病、認知症、褥瘡、神経疾患、運動器疾患、呼吸器疾患、循環器疾患、消化器疾患、腎疾患、内分泌疾患、皮膚疾患、精神疾患、その他という選択肢が用意された形になりました。

機能訓練実施上の留意事項(開始前・訓練中の留意事項、運動強度・負荷量等)

機能訓練実施上の留意事項(開始前・訓練中の留意事項、運動強度・負荷量等)も必要に応じて、医師または歯科医師から情報を得て記入します。

個別機能訓練の目標・個別機能訓練項目の設定

通所介護地域密着型通所介護地域密着型通所介護の場合には、個別機能訓練の目標・個別機能訓練項目の設定は注意が必要です。

個別機能訓練の目標は、利用者のニーズ、日常生活や社会生活などにおける役割、心身の状態に応じて、機能訓練指導員が協力して設定します。この際、利用者や家族の意向、担当する介護支援専門員の意見も取り入れます。

目標設定では、利用者の意欲を高めるために、長期目標と短期目標を設定し、可能な限り具体的かつ分かりやすい目標を作成します。

個別機能訓練計画書 個別機能訓練の目標・個別機能訓練項目の設定

長期目標の設定

長期目標は、生活機能の構成要素である「心身機能」(体や精神の働き)、日常生活動作(ADL)や家事、職業能力、屋外歩行などの「活動」、家庭や社会で役割を果たす「参加」をバランスよく含めて設定します。具体的には、利用者が住み慣れた地域で自立して暮らし続けられるように、身体機能の向上だけでなく、日常生活や社会的活動を含めた目標とします。

長期目標の例

  • トイレに行く
  • 自宅の風呂に一人で入る
  • 料理を作る
  • 掃除・洗濯をする
  • 商店街に買い物に行く
  • 囲碁教室に行く
  • 孫とメールの交換をする
  • インターネットで手続きをする

短期目標の設定

長期目標を設定した後、その目標を達成するために必要な行為を細分化し、短期目標として整理します。

短期目標の例

長期目標が「スーパーマーケットに食材を買いに行く」の場合は以下のような短期目標が想定されます。

  • 買いたい物を書き記したリストを作る
  • 買い物量を想定し、マイバッグを用意する
  • スーパーマーケットまでの道順を確認する
  • スーパーマーケットまで歩いて行く
  • スーパーマーケットの入り口で買い物かごを持つ
  • リストにある食材を見つける
  • 食材を買い物かごに入れる
  • レジで支払いをする
  • 買った品物を袋に入れる
  • 買った品物を入れた袋を持って自宅まで歩いて帰る

目標設定や目標の文例についてはこちら。

個別機能訓練項目・プログラムの設定

短期目標を達成するために必要な行為を、利用者の現状の心身機能に照らして、可能なことと困難なことに整理します。

訓練方法の検討

利用者の現状の心身機能に照らして困難な行為について、どのような訓練を行えば可能となるかを検討します。
例:歩行機能が低下している場合、「スーパーマーケットまで歩いて行く」「リストにある食材を見つける」「買った品物を持って帰る」といった行為が困難である場合、自宅からスーパーマーケットまでの距離などを考慮して、以下の訓練を行います。

  • 歩行機能を向上させる訓練(筋力向上訓練、耐久性訓練、屋内外歩行訓練など)
  • 歩行を助ける福祉用具(つえなど)を使用する訓練
  • 歩行機能の向上が難しい場合、代替的な移動手段(電動車いすなど)を使用する訓練

訓練項目の決定

目標を達成するために必要な行為を遂行できるように、生活機能を向上させるための訓練項目を決定します。訓練項目の決定にあたっては、利用者の生活機能の向上に資するよう、複数の種類の訓練項目を準備します。その選択にあたっては、利用者の生活意欲の向上に繋がるように援助します。

自主訓練の推奨

生活機能の向上のためには、通所介護等提供中の個別機能訓練だけでなく、日々の生活においてもできる限り自主訓練を行うことが重要です。そのため、利用者が自身でまたは家族等の援助を受けて、居宅などでも実施できる訓練項目を検討し、提示することが望ましいです。

訓練時間

個別機能訓練計画に定めた訓練項目を実施する際に必要な1回あたりの訓練時間を考慮して、適切に設定します。

訓練実施回数

個別機能訓練の目的を達成するためには、生活機能の維持・向上を図る観点から、計画的かつ継続的に個別機能訓練を実施する必要があります。おおむね週1回以上の頻度で実施することを目安とします。

個別機能訓練計画書の内容を利用者またはその家族への説明し同意を得る

機能訓練指導員は、利用者またはその家族に対して個別機能訓練の内容を分かりやすく説明し、同意を得ることが必要です。また、その際に個別機能訓練計画を交付します(電磁的記録の提供を含む)。

介護支援専門員(ケアマネジャー)に対して報告

介護支援専門員(ケアマネジャー)に対して、個別機能訓練計画を交付します(電磁的記録の提供を含む)。その上で、利用者またはその家族への説明が行われ、同意が得られた旨を報告します。

個別機能訓練実施後の対応・評価

個別機能訓練加算に基づく訓練を開始した後は、以下の点に注意して評価とフォローアップを行います。

訓練の評価

前回作成した目標に対する目標達成度(達成・一部・未達)を評価します。また、訓練の目的に照らし合わせて、個別機能訓練項目や実施時間が適切だったか、訓練の効果(例えば、利用者のADLやIADLの改善状況)が見られるかを評価します。

定期的な訪問と確認

3か月ごとに1回以上、利用者の居宅を訪問し、生活状況(起居動作、ADL、IADL等)を確認します。また、個別機能訓練の実施状況や効果について利用者やその家族に説明し、記録します。なお、説明と記録は訪問日とは別の日にICTなどを活用して行っても問題ありません。

報告と相談

3か月ごとに1回以上、個別機能訓練の実施状況や効果について、担当の介護支援専門員にも適宜報告・相談し、利用者やその家族の意向を確認します。その上で、利用者に対する個別機能訓練の目標や訓練項目の見直しを行います。上記の評価や報告に基づき、必要に応じて適切な対応を行います。

これにより、利用者が継続的に最適な個別機能訓練を受けられるよう支援します。

まとめ

2024年から始まる通所介護の「個別機能訓練加算」における「個別機能訓練計画書」の様式3-3について、この記事ではエクセルファイルの記入例と書き方を詳しく紹介しました。個別機能訓練の長期目標・短期目標の設定方法や、具体的な個別機能訓練項目(プログラム)の考え方についても解説しています。これらの情報を活用して、利用者に最適な個別機能訓練計画を立てる際の参考にしてください。

この記事を書いた人

管理人

機能訓練指導員ネットワーク代表、介護保険分野の機能訓練を解説しています。