通所介護の「個別機能訓練加算」を算定する際には、利用者のニーズを正確に把握することが求められ、そのために用いられるのが「別紙様式3-1『興味・関心チェックシート』」です。このシートは、利用者の日常生活や社会生活における興味・関心を詳細に記録し、個別機能訓練計画を立てるための重要なツールとなります。この記事では、興味・関心チェックシートの概要、記入方法、及びその活用法について詳しく解説します。
「興味・関心チェックシート」とは?|通所介護・地域密着型通所介護の「個別機能訓練加算」
「興味・関心チェックシート」とは?
興味・関心チェックシートと居宅訪問チェックシート
個別機能訓練の目標を設定するにあたっては、この記事で紹介する興味・関心チェックシートの他、別紙様式3-2の「生活機能チェックシート」を用いて利用者の居宅での生活状況(ADL、IADL等)を訪問して確認することも必要です。
様式名 | 目的と内容・確認方法 |
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興味・関心チェックシート | 利用者の日常生活や社会生活等について、現在行っていることや今後行いたいこと(ニーズ・日常生活や社会生活等における役割)を把握 |
生活機能チェックシート | 利用者の居宅での生活状況(ADL、IADL等)を居宅訪問の上で確認 ア 利用者の居宅の環境(居宅での生活において使用している福祉用具・補助具等を含む)を確認する イ ADL、IADL項目について、居宅の環境下での自立レベルや実施するにあたっての課題を把握する |
通所介護・地域密着型通所介護の「個別機能訓練加算」の目的
通所介護や地域密着型通所介護で個別機能訓練加算を算定する利用者は、住み慣れた地域で可能な限り自立して暮らし続けることを目指し、生活機能の維持・向上を図るために個別機能訓練を実施する必要があります。個別機能訓練加算の算定要件は、令和3年度(2021年)の介護報酬改定で見直され、利用者の自立支援をさらに促進するために、これまでの加算取得状況や訓練の実施状況を考慮し、訓練の目的や実施体制、人員配置が再評価されました。
興味・関心チェックシートは誰がやる?実施者
興味・関心チェックシートの実施者について厚生労働省は明確にはしていませんが、個別機能訓練の目標を設定するにあたって利用者の日常生活や社会生活について現在行っていること、または今後行いたいことを把握するために行うものです。そのため、機能訓練指導員の他、多職種で協力して個別機能訓練計画を作成することとなるので、個別機能訓練計画を一緒に作成する職員が行うという形が自然ではないでしょうか。
興味・関心チェックシートの書き方・記入方法
現在している生活行為の確認
頻度に関係なく、現在行っている生活行為には「している」の列に○を記入します。
していない行為の意向確認
していない行為について、してみたいかどうかの意向を確認し、「してみたい」の列に○を記入します。
興味の確認
できるかどうかに関わらず、興味がある行為には「興味がある」に○を記入します。
該当しない場合の対応
可能であれば、×印の理由を聞き、その対象者の経験や思いなどを確認します。
いずれにも該当しない場合、「している」の列に×を記入します。
興味・関心チェックシート活用のポイント
単に○や×を付けるだけでなく、「いつ・どこで・誰と・どんな場面で」といった具体的な状況を掘り下げることが重要です。これにより、対象者の本当のニーズや背景を深く理解することができます。
興味・関心チェックシートの歴史と目的
「興味・関心チェックシート」は、高齢者のニーズを把握するために作られたシートです。このシートは、老人福祉センターでのニーズ調査を基に作成され、その後、作業療法士協会が試行と外部専門家の意見を参考にして完成させました。このシートの特徴は、余暇活動だけでなく、セルフケアなどの生活面にも焦点を当てていることです。
若い精神障害者にも使用できるように設計されており、幅広い項目が網羅されています。チェックシートを使用する際には、単に○や×の印を付けるだけでなく、「いつ・どこで・誰と・どんな場面で」といった具体的な情報を掘り下げて確認することで、対象者の本当のニーズをより正確に把握することができます。