障害高齢者の日常生活自立度の判定基準を詳しく紹介します。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)は、介護や医療の現場で非常に重要な役割を果たしており、機能訓練指導員なども高齢者の生活状況を評価してランクを判定する場面も出てきました。
本記事では、障害高齢者の日常生活自立度の判定基準について、その概要や具体的な判定方法について詳しく解説します。
障害高齢者の日常生活自立度とは?(寝たきり度)
障害高齢者の日常生活自立度は、主に「移動」の状態に着目して、高齢者の日常生活の自立度を簡単に判定する評価方法です。介護保険の認定調査や主治医意見書、近年では介護サービス計画の項目の一つとしても取り入れられており、厚生労働省が進める科学的介護の推進のための情報の一つとしても採用されています。
障害高齢者の日常生活自立度を判定する際の注意点としては、「~をすることができる」といった「能力」の評価ではなく「状態」、特に「移動」しているかに関わる状態像に着目して、日常生活の自立の程度を4つのランク、8段階に分けることで評価するものです。できるADLではなく、「しているADL」で評価するものです。
障害高齢者の日常生活自立度の判定基準早見表
障害高齢者の日常生活自立度では、判定基準を参考に該当するものを選択しますが、わかりやすい早見表がこちらになります。
障害高齢者の日常生活自立度の各ランクの判定基準・詳しい状態
生活自立(ランクJ)
生活自立(ランクJ)は、「何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する」状態です。独力で外出する状態に合わせて2段階のランクがあります。
ランクJ-1 交通機関等を利用して外出する
ランクJ-2 隣近所なら外出する
準寝たきり(ランクA)
準寝たきり(ランクA)は、「屋内での生活はおおむね自立しているが、介助なしには外出しない」状態です。屋内での自立の状態に合わせて2段階のランクがあります。
ランクA-1 介助により外出し、日中はほとんどベットから離れて生活する
ランクA-2 外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている
寝たきり(ランクB)
寝たきり(ランクB)は、「屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベット上での生活が主体であるが、座位を保つ」状態です。介助があれば動けるレベルに応じて2段階のランクがあります。
ランクB-1 車いすに移乗し、食事、排泄はベットから離れて行う
ランクB-2 介助により車いすに移乗する
寝たきり(ランクC)
寝たきり(ランクC)は、「1日中ベット上で過ごし、排泄、食事、着替において介助を要する」状態です。自力で寝がえりをしているかによって2段階のランクがあります。
ランクC-1 自力で寝返りをうつ
ランクC-2 自力では寝返りもうたない
補足
障害高齢者の日常生活自立度について、さらに詳しい内容については、以下の記事が参考になります。
よくある質問
一定期間(調査日より概ね過去 1 週間)の状況において、より頻回に見られる状況や日頃の状況で選択していきます。疾患によって日内変動などあるケースも多いですので、認定調査や主治医意見書などで障害高齢者の日常生活自立度を判定する場合にはその日頃の状況等について、具体的な内容を「特記事項」に記載します。
ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引きで、「判定基準を参考に該当するものを選びます。なお、全く障害等を有しない者については、自立とします」と示されています。科学的介護情報システム(LIFE)に提出するデータに限ってはサービス事業所や施設での判定が可能ですが、その他の場面では障害高齢者の日常生活自立度と認知症高齢者の日常生活自立度については、医師が判定した主治医意見書の判定結果が採用されます。
特に、認知症専門ケア加算や日常生活継続支援加算を算定する場合の認知症高齢者の日常生活自立度については注意が必要で、認知症高齢者の日常生活自立度を事業所や施設で判定してはならず、優先すべきは医師の判定した主治意見書の判定結果となります。主治医意見書が開示されていない場合には、認定調査票(基本調査)」の「認知症高齢者の日常生活自立度」欄の記載を用いるものと示されています。