2021年介護報酬改定で変更となるADL維持等加算(Ⅰ)30単位/月(Ⅱ)60単位/月(Ⅲ)3単位/月の算定要件、厚生労働省のLIFEへのBarthel Indexの値(ADL値)の提出方法、ADL利得の計算方法、評価期間や算定期間などについて紹介します。
ADL維持等加算の単位数
ADL維持等加算(Ⅰ) 30単位/月
ADL維持等加算(Ⅱ) 60単位/月
ADL維持等加算(Ⅲ) 3単位/月
※加算(Ⅰ)(Ⅱ)は併算定不可
Barthel Indexの評価
ADLの評価は、一定の研修を受けた者により、Barthel Index を用いて行うものとされています。
Barthel Index(バーセルインデックス)は、日常生活動作(ADL)の評価指標で ①食事 ②車椅子とベッド間の移乗 ③整容 ④トイレ動作 ⑤入浴 ⑥移動 ⑦階段昇降 ⑧更衣 ⑨排便自制 ⑩排尿自制 の10項目構成による20項目分類で、各項目ごとに自立、部分介助および最小限介助で各5~15点までの点数を合計するように作られており、すべて自立していると100点になります。
fa-arrow-circle-rightバーセルインデックスの評価方法はこちらfa-external-link
厚生労働省へのADL値の提出方法
厚生労働省へのBarthel Indexの値(ADL値)の提出方法は、「科学的介護情報システム(LIFE)」を用いて行うこととされています。
ADL維持等加算のADL利得
ADL利得は、評価対象利用開始月の翌月から起算して6月目の月に測定したADL値から、評価対象利用開始月に測定したADL値を控除して得た値に、次の表の左欄に掲げる者に係る同表の中欄の評価対象利用開始月に測定したADL値に応じてそれぞれ同表の右欄に掲げる値を加えた値を平均して得た値です。
2以外の者 | ADL値が0以上 25 以下 1 ADL値が 30 以上 50 以下 1 ADL値が 55 以上 75 以下 2 ADL値が 80以上 100以下 3 |
評価対象利用開始月において、初回の要介護認定があった月から起算して 12 月以内である者 | ADL値が0以上 25 以下 0 ADL値が 30 以上 50 以下 0 ADL値が 55 以上 75 以下 1 ADL値が 80以上 100以下 2 |
ADL利得の平均の計算方法
ADL利得の平均を計算するに当たって対象とする者は、ADL利得の多い順に、上位 100 分の 10 に相当する利用者(その数に1未満の端数が生じたときは、これを切り捨てるものとする。)及び下位 100 分の 10 に相当する利用者(その数に1未満の端数が生じたときは、これを切り捨てるものとする。)を除く利用者(以下「評価対象利用者」という。)とするとされています。
他の施設や事業所が提供するリハビリテーションを併用している利用者については、リハビリテーションを提供している当該他の施設や事業所と連携してサービスを実施している場合に限り、ADL利得の評価対象利用者に含めるものです。
ADL維持等加算の算定期間
令和3年度については、評価対象期間において次のaからcまでの要件を満たしている場合に、評価対象期間の満了日の属する月の翌月から 12 月に限り、ADL維持等加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)を算定できることとする。
a大臣基準告示第 16 号の2イ⑴、⑵及び⑶並びにロ⑵の基準(イ ⑵については、厚生労働省への提出を除く。)を満たすことを示す書類を保存していることが必要です。
b 厚生労働省への情報の提出については、「科学的介護情報システ ム(Long-term care Information system For Evidence)」(以下「LIFE」という。)を用いて行います。LIFEへの提出情報、 提出頻度等については、「科学的介護情報システム(LIFE)関連 加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」を参照します。
サービスの質の向上を図るため、LIFEへの提出情報及びフィ ードバック情報を活用し、利用者の状態に応じた個別機能訓練計画の作成(Plan)、当該計画に基づく個別機能訓練の実施(Do)、当該 実施内容の評価(Check)、その評価結果を踏まえた当該計画の見直し・改善(Action)の一連のサイクル(PDCAサイクル)により、 サービスの質の管理を行う必要があります。 提出された情報については、国民の健康の保持増進及びその有する能力の維持向上に資するため、適宜活用されるものです。
c ADL維持等加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)の算定を開始しようとする月の末日までに、LIFEを用いてADL利得に係る基準を満たすことを確認することが必要です。
ADL維持等加算の評価対象期間
令和3年度の評価対象期間は、加算の算定を開始する月の前年の同月から 12 月後までの1年間とする。
ただし、令和3年4月1日までに算定基準に適合しているものとして都道府県知事に届出を行う場合については、次のいずれかの期間を評価対象期間とすることができる。
a 令和2年4月から令和3年3月までの期間
b 令和2年1月から令和2年 12 月までの期間
令和4年度以降に加算を算定する場合であって、加算を取得する月の前年の同月に、基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出ている場合には、届出の日から12月後までの期間を評価対象期間とする。
ADL維持等加算(Ⅲ)について(単位数:3単位/月)
令和3年3月 31 日において現に、令和3年度介護報酬改定による改正前のADL維持等加算に係る届け出を行っている事業所であって、⑿①に係る届け出を行っていないものは、令和5年3月 31 日ま での間はADL維持等加算(Ⅲ)を算定することができます。
この場合の算定要件等は、令和3年度介護報酬改定による改正前のADL維持等加算(Ⅰ)の要件によるものとされています。
ロ ADL維持等加算(Ⅲ)の算定に係る事務処理手続等の詳細について は、この通知に定めるもののほか、「ADL維持等加算に関する事務処理手順及び様式例について(平成 30 年4月6日老振発第 0406 第1号、老老発第 0406 第3号)fa-external-link」におけるADL維持等加算 (Ⅰ)の事務処理手順等を参考にします。
科学的介護情報システム(LIFE)とは
科学的介護情報システム「LIFE」とは、利用者の情報や介護サービス提供に関する内容のデータを厚生労働省へ提出することと、データ解析によるフィードバックの活用によって、科学的に裏付けられた介護の実現を目指しサービスの質の向上を図る取り組みをするためのシステムです。
厚生労働省では、自立支援等の効果について科学的に裏付けられた介護を実現するために必要なデータ収集・分析するためのデータベースとして「CHASE」の構築を行い、令和2年5月より試験運用したいました。令和3年4月1日よりVISIT(通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集システム)と統合し、LIFE(科学的介護情報システム/Long-term care Information system For Evidence/ライフ)となります。
科学的介護情報システム「LIFE」について詳しくはこちら