個別機能訓練加算<個別機能訓練計画書の作成方法>2021年報酬改定対応版

個別機能訓練加算<個別機能訓練計画書の作成方法>2021年報酬改定対応版

個別機能訓練加算算定にあたっての居宅訪問・課題整理・目標設定・個別機能訓練計画の作成、長期目標・短期目標の設定方法と目標例、計画書の同意と交付などを紹介します。

2021年(令和3年度)介護報酬改定後の通所介護における個別機能訓練加算に関する事務処理手順例(案)が厚生労働省から示されました。
2021年(令和3年度)4月以降は、個別機能訓練加算(Ⅰ)イと個別機能訓練加算(Ⅰ)ロが新設されます。
2021年4月~個別機能訓練加算の算定要件・単位数(通所介護)

個別機能訓練加算の算定要件については、令和3年度介護報酬改定において、より利用者の自立支援等に資する個別機能訓練の提供を促進する観点から、これまでの個別機能訓練加算の取得状況や加算を取得した事業所の機能訓練の実施状況等をふまえ、機能訓練の実施目的や実施体制、加算取得にあたっての人員配置について見直しを行ったところであり、今般、短期入所生活介護(介護予防含む)における個別機能訓練加算と併せて、改めて個別機能訓練加算の目的、趣旨の徹底を図るとともに、加算の実行性を担保するため、厚生労働省から改めて個別機能訓練加算の事務処理手順例及び様式例を示すこととなりました。(2021年3月9日付けの案の内容であるため、確定情報ではありません。

2024年4月からの通所介護の個別機能訓練加算の算定要件

2024年4月(令和6年4月)からの通所介護の個別機能訓練加算の算定要件はこちらの記事で再度要点をまとめていますのでご覧ください。

2024年~ 通所介護の「個別機能訓練加算」算定要件

2024年~ 通所介護の個別機能訓練加算「個別機能訓練計画書」の書き方・記入例(様式3-3)

通所介護等の個別機能訓練加算の目的

通所介護等留意事項通知において示しているように、個別機能訓練加算は、専ら機能訓練を実施する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師(はり師及びきゅう師については、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を
配置した事業所で6月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者に限る。)(以下「理学療法士等」という。)を配置し、機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者(以下「機能訓練指導員等」という。)が共同して、利用者ごとに心身の状態や居宅の環境をふまえた個別機能訓練計画を作成し、当該計画に基づき計画的に機能訓練を行うことで、利用者の生活機能の維持・向上を図り、住み慣れた地域で居宅において可能な限り自立して暮らし続けることを目指すため設けられたものである。本加算の算定にあたっては、加算設置の趣旨をふまえた個別機能訓練計画作成及び個別機能訓練が実施されなければならない。

個別機能訓練の実務

個別機能訓練加算の算定にあたっては、以下の⑴~⑶の実施が必要となる。通所介護事業所及び地域密着型通所介護事業所の管理者は、これを参照し、各事業所における個別機能訓練実施に関する一連の手順をあらかじめ定める必要がある。

加算算定にあたっての目標設定・個別機能訓練計画の作成

利用者の社会参加状況やニーズ・日常生活や社会生活等における役割の把握、心身の状態の確認機能訓練指導員等は、個別機能訓練の目標を設定するにあたり、以下の①~④により、利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割の把握及び心身の状態の確認を行う。

① 利用者の日常生活や社会生活等について、現在行っていることや今後行いたいこと(ニーズ・日常生活や社会生活等における役割)を把握する。これらを把握するにあたっては、興味・関心チェックシートを活用すること。またあわせて、利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割に対する家族の希望を把握する。

② 利用者の居宅での生活状況(ADL、IADL等)を居宅訪問の上で確認する。具体的には、生活機能チェックシートを活用し以下を実施する。

ⅰ 利用者の居宅の環境(居宅での生活において使用している福祉用具・補助具等を含む)を確認する。

ⅱ ADL、IADL項目について、居宅の環境下での自立レベルや実施するにあたっての課題を把握する。

③ 必要に応じて医師又は歯科医師から、これまでの利用者に対する病名、治療経過、合併疾患、機能訓練実施上の留意事項についての情報を得る。直接医師又は歯科医師から情報が得られない場合は、介護支援専門員を通じて情報収集を図ること。

④ 介護支援専門員から、居宅サービス計画に記載された利用者本人や家族の意向、総合的な支援方針、解決すべき課題、長期目標、短期目標、サービス内容などについて情報を得ること。

多職種協働での個別機能訓練計画の作成

把握した利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割及び心身の状態に応じ、機能訓練指導員等が多職種協働で個別機能訓練計画を作成する。その際、必要に応じ各事業所に配置する機能訓練指導員等以外の職種(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄養士等)からも助言を受けることが望ましい。

・ 個別機能訓練計画は別紙様式3を参考に作成すること。なお、個別機能訓練計画に相当する内容を通所介護計画又は地域密着型通所介護計画の中に記載する場合は、その記載をもって個別機能訓練計画の作成に代えることができる。

・ また、個別機能訓練計画の作成にあたっては、居宅サービス計画、通所介護計画又は地域密着型通所介護計画と連動し、これらの計画と整合性が保たれるように行うことが重要である。なお、通所介護計画書及び地域密着型通所介護計画書は別紙様式4を参考に作成すること。

個別機能訓練目標の設定

把握した利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割及び心身の状態に応じ、機能訓練指導員等が協働し、利用者又は家族の意向及び利用者を担当する介護支援専門員の意見も踏まえつつ、個別機能訓練目標を設定する。なお、目標設定にあたっては、当該利用者の意欲の向上に繋がるよう、長期目標・短期目標のように段階的な目標設定をするなど、可能な限り具体的かつ分かりやすい目標とすること。

長期目標の設定と目標例

長期目標は生活機能の構成要素である以下a~cをバランスよく含めて設定することが求められる。

a 体の働きや精神の働きである「心身機能」

b ADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」

c 家庭や社会で役割を果たすことである「参加」

・ 具体的には、利用者が住み慣れた地域で居宅において可能な限り自立して暮らし続けることができるよう、単に座る・立つ・歩くといった身体機能の向上を目指すことのみを目標とするのではなく、居宅における生活行為(トイレに行く、自宅の風呂に一人で入る、料理を作る、掃除・洗濯をする等)や地域における社会的関係の維持に関する行為(商店街に買い物に行く、囲碁教室に行く、孫とメールの交換をする、インターネットで手続きをする等)等、具体的な生活上の行為の達成を含めた目標とすること。

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短期目標の設定と目標例

長期目標を設定した後は、目標を達成するために必要な行為ごとに細分化し、短期目標として整理する。

(例)長期目標が「スーパーマーケットに食材を買いに行く」の場合必要な行為

  • 買いたい物を書き記したリストを作る
  • 買い物量を想定し、マイバッグを用意する
  • スーパーマーケットまでの道順を確認する
  • スーパーマーケットまで歩いて行く
  • スーパーマーケットの入り口で買い物かごを持つ
  • スーパーマーケットの中でリストにある食材を見つける
  • 食材を買い物かごに入れる
  • レジで支払いをする
  • 買った品物を袋に入れる
  • 買った品物を入れた袋を持って、自宅まで歩いて帰る

個別機能訓練項目の設定

・ 短期目標を達成するために必要な行為のうち、利用者の現状の心身機能等に照らし可能であること、困難であることを整理する。
・ 利用者の現状の心身機能等に照らし困難であることについて、どのような訓練を行えば可能となるのか検討する。

(例)上記の事例において、歩行機能が低下していることから、「スーパーマーケットまで歩いて行く」「スーパーマーケットの中でリストにある食材を見つける」「買った品物を入れた袋を持って、自宅まで歩いて帰る」ことが困難である場合、自宅からスーパーマーケットまでの距離等を勘案した上で、

  • 歩行機能を向上させる訓練(筋力向上訓練、耐久性訓練、屋内外歩行訓練等)
  • 歩行を助ける福祉用具(つえ等)を使用する訓練
  • 歩行機能の向上が難しい場合、代替的な移動手段となりうる福祉用具(電動車いす等)を使用する訓練

を行うことが想定される。

目標を達成するために必要な行為を遂行できるように、生活機能を向上させるための訓練項目を決定する。なお、訓練項目の決定にあたっては、利用者の生活機能の向上に資するよう複数の種類の訓練項目を準備し、その項目の選択に当たっては、利用者の生活意欲の向上に繋がるよう利用者を援助すること。

・ 生活機能の向上のためには、通所介護等提供中に機能訓練を行うのみでなく、利用者が日々の生活においてもできる限り自主訓練を行うことが重要であることから、利用者が自身で又は家族等の援助を受けて、利用者の居宅等においても実施できるような訓練項目をあわせて検討し、提示することが望ましい。

利用者又はその家族への説明と同意

利用者又はその家族に対し、機能訓練指導員等が個別機能訓練の内容について分かりやすく説明を行い、同意を得ること。またその際、個別機能訓練計画を交付(電磁的記録の提供を含む)すること。

介護支援専門員への報告

介護支援専門員に対し、個別機能訓練計画を交付(電磁的記録の提供を含む)の上、利用者又はその家族への説明を行い、内容に同意を得た旨報告すること。

個別機能訓練加算の実施方法・訓練時間・評価内容はこちら

個別機能訓練加算算定にあたっての個別機能訓練の実施方法・体制、訓練時間、訓練実施回数、個別機能訓練実施後の対応(評価内容)などはこちらの記事で紹介しています。

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2021年4月からの個別機能訓練加算の算定要件・単位数はこちら

2021年4月の介護報酬改定では、2021年3月までの個別機能訓練加算(Ⅰ)と個別機能訓練加算(Ⅱ)が統合されます。

機能訓練項目について、利用者の心身の状況に応じて、身体機能・生活機能向上を目的とする機能訓練項目を柔軟に設定することを可能となります。

訓練提供方法は、5人程度以下の小集団又は個別、機能訓練指導員が直接実施という内容となっています。

従来の加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は、人員配置+訓練内容の違いで区分されていました。

2021年4月からは、人員配置でサービス提供時間を通じて専従の機能訓練指導員を配置している場合には、個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ(85単位/日)が算定できることに変更となりますのでご注意ください。詳しくはこちら。

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この記事を書いた人

管理人

機能訓練指導員ネットワーク代表、介護保険分野の機能訓練を解説しています。